今回は「著作権と肖像権」について詳しくご説明していきたいと思います。
「法律の話となるとなんだか難しそう…」
「お気に入りのイラストがあるんだけどTシャツにプリントしてもいいの?」
「著作権って具体的にどんなものが該当するの?肖像権との違いは?」
と思われる方も多いのではないでしょうか。
「著作権、肖像権(パブリシティ権)について」「著作権違法になる場合とならない場合」をわかりやすくご説明していく記事となっていますのでオリジナルTシャツを作る前の参考にしていただければと思います。
オリジナルTシャツ制作における著作権と肖像権の注意点
ロゴや写真などを参考にしながら作成する事が多いオリジナルTシャツですが、許可無くオリジナルTシャツにそのまま使用すると著作権や肖像権の侵害にあたる場合があります。
知らぬ間に権利侵害している事もあるのでしっかり学んでおきましょう。
著作権ってなに?覚えておきたい3つのポイント
著作権とは本人が創作した著作物に発生し、創作者の著作物への思想や感情を勝手に利用、意図しないメッセージ性、品格を保護するための権利です。
音楽(歌詞や譜面)や絵画(マンガや写真)、映画(アニメや紙芝居)、文章(小説や論文)、建築の設計図や地図、ダンスの振り付けなど様々なものがこの著作権の保護に該当します。
著作権の侵害になり得る可能性が高いのは以下の3つです。
•既存のイラストや歌詞や小説の一節などを引用
•既存の著作物を連想させるパロディやオマージュ
•著名人(会社ロゴなど)の写真や似顔絵
上記の3つを業者に製作を委託してしまうとNGになってしまいます。
ここで大事なのが「業者に製作を委託」という部分で、Tシャツ製作を1から個人で行い且つ着用して外出しなければ問題はありません。
Tシャツ製作を1から個人で行い且つ着用して外出しなければ問題はありませんというのは、家庭内での個人的な利用であれば他者の著作物を複製しても大丈夫ということです。
(1)著作権法第 30 条第1項においては,閉鎖的な私的領域における零細な複製を許容す
る観点から,著作物を個人的又は家庭内等の限られた範囲内で使用することを目的とす
る場合にはその使用する者が複製することができることとしている。
引用元:文化庁-私的使用目的の複製に係る権利制限について
著作権法として引っかかってしまうのは、他者に製作を依頼(ドラ◯ンボールのプリントTシャツを作ってください)または引用した著作物を家庭外で利用、営利目的で売買を行うとこの著作権法に引っかかってしまう場合があります。
つまり他人の目に触れないように利用するのであれば問題はないということになります。
著作権は知的財産権の内の1つ
知的財産権という言葉に聞き覚えがある方もいらっしゃるかと思われますが、著作権はこの「知的財産権」の一種です。
知的財産権は著作権の他に「産業財産権」という権利があり特許や商標など物質的な保護になります。
著作権はどちらかというと創作者の感情や思想と言った精神的な保護になります。
もう少しだけ詳しく知りたい方はこちらの「文化庁【資料8】さまざまな権利-知的財産権について」をご覧ください。
肖像権とパブリシティ権
肖像は人の姿や顔を写したもの(絵、写真、彫刻など)を意味し、肖像権は意味通りその人自身の外見を他者に使用されるのを保護するための権利です。
歩いていたらたまたま有名人に遭遇して思わず写真を許可なく撮ってしまった、となるとこの肖像権の侵害あるいはパブリシティ権の侵害となります。
肖像権はどんな人にでも例外なく発生する権利ですので、無断で写真を撮られSNSに投稿されてしまった(プリントTシャツもNGです)という場合多くの方々はこの肖像権の侵害にあたりますがパブリシティ権は少し違います。
肖像権はその人のプライバシーと尊厳を保護するための権利ですが、パブリシティ権は経済的価値を保護するための権利になるのです。
パブリシティ権ってなに?
パブリシティ権は経済的価値、財産に関わるもので主に芸能人やスポーツ選手、アーティストや大手会社など名前や顔だけで「顧客誘引力」を持つ著名人に対して発生する権利です。
名前や顔だけで顧客誘引力を持つというのは写真だけでなくサインや声、会社ならロゴマークなど肖像以外の部分にも関わります。
とあるサッカーゲームや野球ゲームを例にすると、本名でしっかり明記されているゲームと本名をもじったようなネーミングがされてあるゲームがあります。
前者は許可を得られたから本人の本名使用が認められ、後者は許可を得なかった、得られなかったというのが理由です。
もし許可を得ずに本名を使用してしまった場合パブリシティ権が発生する可能性が大いにあります。
野球が好きだから野球ゲームを買う方が多いかと思われますが、「ジロー選手」だとやっぱり盛り上がりに欠けてしまいますよね。
名前や顔だけで顧客誘引力を持つ著名人に対して発生するパブリシティ権と肖像権の違いは上記の部分にあるかと思われます。(肖像権やパブリシティ権に関しては規定ではなくその場での総合考慮した上の「解釈」という判断になるので曖昧に書いています)
著作権法に違反する場合
著作権法は誰かが作成したものを他人が無断で勝手に使用、営利目的で販売することで違反になる可能性があります。
特に覚えておきたいことは以下の3点です。
•公式のイラストを転写、または既存のイラストの模写、パロディ、オマージュ
•楽曲の歌詞や譜面の引用
•芸能人の写真や似顔絵のプリント
公式のイラストをそのままTシャツに使用するのはもちろんのことですが、明らかに模写やパロディしたものを「業者」に依頼して製作することもできません。(業者と打ち合わせの段階で断られることの方が多いです)
またアーティストの楽曲の歌詞や譜面の引用、小説の一節など俗にいう「パクリ」に当たるものは全て違反になってしまいます。
芸能人の写真をTシャツにプリントすることも違反になりますが、見落としがちになるのが芸能人の似顔絵もNGだということです。
こちらは著作権というより上記でご説明した肖像権やパブリシティ権に関わるものですが、勝手に使用するとこちらも違反になる可能性は高いです。
では著作権法に違反しない場合はどういったものかを次の見出しで説明します。
著作権法に違反しない場合
著作権法に違反しない場合はどういったものか、覚えておきたいのは次の4点です。
•許可を得た
•フリー素材
•自分で1からデザインした
•転写や模写はしたが家庭内で利用した
まず1つが当たり前であることのはずが1番難しい、著作者の「許可」を得ることです。
全国的に有名な著作者の場合連絡を取り合うことの方が難しいですが、簡単に言えば連絡さえできれば「使用してOK」という一言で成立します。
2つ目のフリー素材は「無料で使用できるもの、あるいは著作者が著作権を放棄している、または著作保護期間が過ぎている」ものを指しますので基本的には「フリー」に使用できますが、何をしてもいいわけではなく『この約束を守ってくれればOK』という条件付きの素材です。(フリー素材と言われてるくらいのものなのでそれほど厳しい条件ではありませんが)
3つ目の自分で1からデザインしたもの、こちらも問題ありません。
むしろ著作権は作成したご本人様にあります。
最後の4つ目、転写や模写はしたが家庭内で利用したは上記の見出し
「著作権ってなに?覚えておきたい3つのポイント」にある「著作権法第30条第1項」の通り
『個人的又は家庭内等の限られた範囲内で使用』であれば問題なく使用することができます。
以上4点が覚えておきたい事項ですが、簡単にまとめれば他人が作ったものは勝手に外に売らない、持ち出さないということですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は法律の話や馴染みの少ない言葉が多くなってしまいましたが、自分のものは自分のもの他人のものは他人のものなので勝手に使わないということですね。
今回の記事のポイントは
•著作権(肖像権、パブリシティ権)は作成した時点で作成した本人に発生する権利
•既存のものを営利利用、業者を通じて発注、無許可で公の場での使用は厳禁
•条件の範囲内であればフリー素材、公式であっても非営利で限られた範囲内での使用、または自身で作成したものであれば許可なく使用できる
となります。
物を借りるのであればお互いに気持ちよく取引、活動ができるのがベストですね。
それでは良いオリジナルTシャツライフを。